配属前の学部生のみなさんへ

最終更新日: 2017-07-04

ひとりひとりが『自立型理系人材』となるためのロードマップ

「やり方」を身につけることの重要性

研究者に限りませんが、ゆくゆくは世に出て社会人として活躍していくみなさんが意識すべき重要な3つのポイントは、①知識、②やる気、③やり方、と私は考えています。

20150627_知識やる気やり方

実験研究者の場合、

①知識:専門の分野の実験テクニック的なことから最近の研究動向を含む幅広い視点での理解。

②やる気:ネガティブな実験結果が続いて得られるような状況にあっても冷静に次の有効打を立案できる気持ち。根気と言い換えても良い。

③やり方:ゴールに向かって進むとき、求められた条件を満たしながら進めたり、大きな効果をもたらしそうな取り組みにより進めたり、といった副次的な要素にも価値を与えようと取り組む感覚。

と考えます。

この3つの中で、最も重要でありながら最も習得が困難なのは「③やり方」です。同時に概念的でつかみ所がないとも言えます。これは、多分に教わるものではなく、自主的に目的指向型の研究活動を行う中で身についてゆきます。身近なところでは「大スケールの合成実験を行うときには数日前に試薬の在庫状況を確認しておきましょう」とか、長期的には、「学会発表や論文発表を意識して日々の実験には取り組みましょう」といったものです。優れた「③やり方」が身についた研究者は、より多くの、あるいはより上質の成果を挙げることができます。 

優れた「③やり方」を身につけるために

経験を積むことが有効です。

大学内にて

  • 合成実験の実地的なことを経験する。
  • 実験を進めるうえで必要な調査を行う。
  • 実験に関するディスカッションを研究室の仲間や先生と行う。
  • 大学内での発表会にて発表する。卒業論文を作る。

大学外での活動を次に経験します。

  • 研究成果を学会にて発表、ディスカッションする(国内学会、国際学会)。
  • 他大学、他機関の研究者と交流する(自らの成果を有していることが必要)。
  • 英語での公表論文を執筆。

「大学外での活動」は多くの回数をこなすことが望ましいと考えますが、要領の良い人は一回で感覚をつかみます。

おわりに

研究を広い視野から見渡して、より価値のあるもの、波及効果のあるもの、などといった高水準の成果を得るためにはどうしたらよいかを考える力がつきます。以上が「③やり方」を身につけることの重要性と有効な取り組み方です。研究室に配属されたら、最初の研究はしっかりとまとめ上げて、その成果で上述のような経験を積み、優れた「③やり方」を身につけることを私は勧めています。

参考資料

物質科学演習I(2017年7月3日)にて実施の研究室紹介のスライド pdficon_small

 

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